コラム

テルウェル西日本(雇止め撤回)不当労働行為再審査事件

係属機関・決定日

  • 中央労働委員会
  • 平成24年8月2日

事件内容

テルウェル西日本株式会社(以下T社)が、大阪電気通信産業合同労働組合(以下O組合)に加入していた組合員Aを平成21年3月31日限りで雇い止めたこと、及び団体交渉で本件雇止めについて十分な説明をしなかったこと等が、不当労働行為に該当するとして、O組合が雇止め撤回について救済を申し立てた事件の再審査申し立て。

事件の背景

  • 平成13年7月、組合員Aは、9ヶ月の有期雇用契約のパートタイマーとしてT社に採用された。
  • 雇用契約は、平成14年4月1日から雇止めを受けた平成21年3月31日まで7回更新された。
  • 平成20年12月、うつ状態と診断され、3ヶ月(平成20年12月16日~翌3月15日)の休養を要すると診断された組合員Aは、復帰後の就労について直接T社に意思表示をせず、ストライキ通告による休養期間直前の不就労期間を含めて約4ヶ月間長期欠勤していた。
  • 平成21年2月、T社は、これらを考慮して次年度は安定的に仕事に従事できないと判断し、平成21年3月31日付で雇止めを行うことを組合員Aに通知した。組合員Aは、復職しないまま、平成21年3月31日付で雇止めされた。
  • 平成22年3月、O組合は、T社の雇止めは不当労働行為であるとして救済を申し立てた。
  • 平成23年8月、大阪府労働委員会は、救済の申し立てを棄却した。
  • 平成23年9月、O組合は、再審査を申し立てた。

命令

平成24年8月、中央労働委員会は、O組合の再審査申し立てを棄却し、T社の雇止めを有効と判断した。

コメント

本件のように私傷病による欠勤が続いている場合、正社員の場合は就業規則の解雇規定に「精神または身体の障害により業務に耐えられないと認められたとき」等と規定化されていても、解雇無効と判断されるケースが非常に多く、まずは休職に移行するのが一般的である。一方で、有期契約労働者の場合は、休職規定を設けていない場合がほとんどであるが、私傷病による長期欠勤については、欠勤期間の基準が法律で定められているわけではないため、解雇や雇止めの判断は非常に難しいと言える。4ヶ月間の欠勤で雇止めが認められた本件の決定は、今後、休職制度が適用されない有期契約労働者の解雇や雇止めを実施する際の指標になる事例と言えるであろう。
また、今回は有期契約労働者の雇止めについて記載したが、有期契約労働者に適用される労働契約法が大幅に改正され、平成24年8月10日に公布されたため、以下に紹介しておく。

  • 「雇止め法理」の法定化(平成24年8月10日施行)

過去の判例で確立されていた解雇権濫用法理が法定化され、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、雇止めは無効とされることとなった。

  • 「無期雇用への転換」(平成25年4月1日施行)

 同一の使用者との間の2以上の有期労働契約が、通算して5年を超えて反復更新された場合は、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換されることとなる。

  • 「不合理な労働条件の禁止」(平成25年4月1日施行)

同一の使用者と労働契約を締結している有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることを理由に、不合理な労働条件の相違が禁止されることとなる。
 

本法の改正も相まって、今後、法的に無期雇用化・正社員化はますます促進されるものと思われ、さらに、昨今の労働者の就労観の多様化を鑑みると、短時間正社員制度の導入や有能な有期契約労働者の正社員登用等、雇用の在り方を改めて見直す必要があるだろう。